様々なレスキュードローン

2020年12月10日 17時50分

水難救助用レスキュードローン

水難救助や、海岸での遊泳者やサーファー、その他の監視活動に、ドローンを使用するケースが増えています。
 
水難救助用レスキュードローンの仕事
救命具の投下
ドローンが、海岸などで溺れた人に対し、救助用浮き袋やライフジャケットなどの救命具を投下します。波にさらわれるなどして溺れてしまった人は、早ければ30秒ほどで沈んでしまう場合もあるそうです。ドローンなら、人よりも早く救命具を届けることができます。救命具は、後に助けに向かうライフセーバーにとっても目印になります。
 
日本でも、ドローンによる救命具投下実験は行われており、さらなる検証により、今後、ドローンの利用に大きな期待が広がるフィールドです。
 
オーストラリアでは、ドローンによる救命具投下の実証実験中、実際に波にのまれた人が発見され、実証実験が一転、本番のレスキューになったということがありました。この水難者は安全に救助され、実際の成功例として、レスキューへのドローン導入を強力に後押しする材料となっています。
 
海岸の監視活動
遊泳者やサーファーの監視を行うことは、ひとりひとりの監視員が、広い範囲を受け持つことから、なかなか難しい作業です。そこでレスキュードローンの出番です。レスキュードローンは海岸線を飛行し、溺れていると思われる人、遊泳禁止エリアで泳いでいる人を監視し、必要であればドローンに備え付けられたスピーカーで呼びかけます。また、サメなどの危険な生物が遊泳地域に接近していないか監視するためにドローンを使用している例もあります。
 

 山や森林での遭難者救助と捜索活動にレスキュードローンを活用

レスキュードローンは、山や森林における遭難者の救助・捜索活動にも活躍します。水難救助同様に、救援物資を遭難者に届けるという活用法が考えられています。山などで滑落した場合などは、救助隊が入るまでに時間がかかることが多く、いかに生存確率を増やすかということを考えると、ドローンは有力な手段となります。積載重量など、克服しなければならない点はありますが、今後、期待される用途に違いありません。
 
雪山での行方不明者捜索にドローンが利用された例もあります。このレスキュードローンは、既に栃木県警が雪崩事故を契機に導入していたもので、この行方不明者を迅速に発見することにつながりました。残念ながら、この方は既に亡くなっていましたが、レスキュードローンが雪山での救助活動に有益であることを示すには十分な結果でしょう。栃木県警が所有しているこのレスキュードローンには、人の体温を感知する赤外線カメラが搭載されています。
 
日本では、山で遭難する人の数が年間3000人を超えます。救助活動には通常、ヘリコプターが使われますが、コストがかかることがネックです。悪天候が遭難の原因であることも多く、多数の人員を配置しなければならないこともあり、二次災害を防ぐために捜索を打ち切ることもしばしばです。
 
そのような状況ですので、ドローンには大きな期待がかかります。救助・捜索活動の初期に、ドローンによる周辺探索をすることで、その後の捜索隊による捜索で、エリアを絞るなどの決断に役立ちます。
 
山火事、林野火災におけるレスキュードローン
山火事や林野火災は、日本ではあまり発生しないタイプの火事ですが、世界にはカリフォルニア州やオーストラリアなど、自然発生的に山火事や林野火災が発生する地域があります。このような規模の大きい火災は通常、ヘリコプターなどの航空機による空中からの消火活動、そして消防隊員による地上からの消火活動が行われます。このような火災の場合、消防隊員はうかつに火の中に飛び込むわけにはいきません。
 
近年では、大規模な火事の現場にドローンが投入され、延焼しているエリア、ルートの把握に効果を発揮しました。また、山火事や林野火災では、くすぶった火が再度勢いを増すことがあり、赤外線カメラを搭載したドローンが、このようなエリアの特定に役立ちました。

 
 地震、土砂崩れなどの自然災害時に活躍するレスキュードローン
ドローンは容易に人が入って行けない場所の状況をチェックすることができます。そのため、地震や土砂崩れなどの自然災害時には、ドローンが活躍する場面が多くなります。体温を感知することができる赤外線カメラを装備したドローンは、不明者の捜索、位置の特定に力を発揮します。また、ドローンの使用は、二次災害を防ぐという意味でも有効です。
 
 市販されているレスキュードローン
市販されているドローンで、もっともレスキュー用途に優れたモデルは、おそらく「Splash Drone Auto 3」でしょう。SwellPro社が開発を手がけるこのドローンは、防水タイプのドローンで、水陸両方で飛び立つことが可能です。そう、このドローンは水に浮くのです。
 
雨や雪の中でも難なく飛行するこのドローン。完全防水の高性能カメラが搭載され、上空からの探索能力に優れています。オプションのペイロード・リリース機能(運搬物投下機能)を追加すると、上限1キロの物品を運搬し、さらに目標に向けて投下する能力が加わります。「Splash Drone Auto 3」には、海岸での水難者捜索と救命具投下能力が十分に備わっています。