レスキュードローンに必要な条件
2020年12月10日 17時52分
レスキュードローンは全天候型であるべき
日本は自然災害が多い国です。地震、台風、大雨による川の氾濫、土砂崩れといった災害とは切っても切れない関係です。日本で活躍するレスキュードローンには、どんな能力が備わっている必要があるのでしょうか?
レスキュードローンは雨でも雪でも、多少の風でも、必要な時に出動しなければなりません。そのため、レスキュードローンは、全天候型であることが必須条件です。全天候型ということは、前提として防水タイプでなければなりません。
また、遭難現場の状況把握、そして遭難者の捜索という面では、高画質の画像・動画が欠かせません。高性能全天候型カメラと送信システムが、ドローンに搭載されている必要があります。
物資の運搬・リリース機能
捜索に特化したドローンであれば、この装備は必要ないかもしれません。ただ、救助を目的としている場合、食料や救援物資を遭難者に届けるため、ドローンに物資の運搬とリリースを行う機能が備わっていることが理想です。赤外線カメラ
赤外線カメラを搭載しているドローンは、山などでの行方不明者捜索に大きな力を発揮します。人の体温を感知する赤外線カメラ。遭難者の体温が下がりきる少し前であれば、このカメラで遭難者の位置を特定できる可能性があります。AI(人工知能)を搭載したレスキュードローンも
産業用ドローンの分野では、人工知能が搭載されたドローンの開発が進められています。このレスキュードローンは、海上や山での遭難者救助を想定していて、3機編隊のドローンが、遭難者の位置を特定します。あくまでも将来に向けての実験段階ですが、3機のドローンを使うことで、遭難者の正確な位置を割り出し、救助隊の活動を支援することが、このレスキュードローン編隊の役割です。遭難者(登山者やサーファーなど)は、海山などフィールドに出る際にビーコンと呼ばれる、位置情報を伝えるための小さな端末を携帯しています。3機編隊のドローンは、遭難者の正確な位置を特定するために三点計測を行います。仕組みは以下のようになっています。
3機のドローンは、それぞれが別のエリアを飛行します。1機のドローンが遭難者のビーコンから発せられた電波を感知すると、他の2機は、電波が感知されたエリアに移動します。そして、編隊はそのエリアでホバリングしながら三点計測を始めます。ドローンの編隊は、三点計測をしながら、遭難者の位置を特定していきます。位置情報が特定されると、救助隊にその情報が送信されるという流れになります。
現在の水難救助、山岳救助では、大勢の捜索隊を組織したり、ヘリコプターを飛ばしたりと、多大な費用がかかります。
特に登山は日本の国民的なレジャーのひとつでもあり、その人口も増え続けています。日本社会の高齢化とともに、登山者も高齢化しており、高齢者の遭難事故が後を絶ちません。まだまだ開発段階ではありますが、人工知能を搭載し、測量技術を使って遭難者の位置を特定するシステムは、ひじょうに日本らしい発想ではないでしょうか。
空飛ぶAEDドローンも
日本では街中でもかなり見かけるようになったAED(自動体外式除細動器)を、ドローンに組み込むという発想に感銘を受けます。人の命を救う。レスキュードローンのミッションですが、このミッションをそのまま表現しているのがAED内蔵型ドローンでしょう。心臓発作の患者を救うことは一刻を争います。オランダの大学で研究が進められていて、AEDの他、CPR(心肺蘇生法)の補助、また薬を送り届けるドローンなど、コンパクトで機動性に長けたドローンの開発に力を注いでいるようです。